宦官になるメリット、デメリットは?仕事内容は?なぜ必要だった?

世界史の教科書に登場する、去勢された男性・宦官。
宦官制度は古代中国から清王朝まで続きました。

宦官になるメリットデメリット仕事内容必要性を紹介します。

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宦官になるメリット、デメリットは?

宦官になるための手順を想像しただけでも、ゾッとしますよね。
でも、男性にとって、デメリットはもちろん、宦官になるメリットもありました。

メリット

まずは、宦官になるメリットをみていきましょう。
※メリットといっても、宦官になることを勧めているわけではありません。

寿命が延びる

2024年の日本人の男女別平均寿命では、男性が81.05歳、女性が87.09歳で、男性のほうが短命です。

男性が短命なのには、男性ホルモンが大きく影響していると考えられています。
というのも、男性ホルモンには、免疫機能を抑制する働きがあるからです。

おゆう
ゆこ

去勢すると、男性ホルモンの分泌が低下。

その結果、がん細胞の増殖を抑制することができるのだとか。

去勢した宦官の寿命は、去勢していない男性に比べて、15歳から20歳も長かったそうです。

衣食住が保障される

宦官として宮廷で採用されると、衣食住に困ることがありません。
雨風から田畑を守ったり、作物を売ったり、納税に追われたりする暮らしが一変するんです。

貧しい家では、自分が産んだ息子を宦官にしようと、去勢する家庭もありました。

衣食住が保障された宦官は、女性から人気。
地位が特に高い宦官には、妻どころか愛人までいました。

もちろん、血の繋がった子どもは授かれませんが、養子を迎えて、家庭をもつことができました。

信頼される

女性を襲う心配のない宦官。
女性からはもちろん、妻子のいる男性からも信頼されました。

でも、去勢したからといって、女性に対する恋愛感情までなくなるわけではありません。
恋心を抱いても、想いを伝えられないというのは切ないですね。

デメリット

続いて、デメリットをみていきましょう。

子孫を残せない

紹介したように、宦官は去勢しているので、子孫を残せません。
子供がほしければ、養子を迎えるしかありませんでした。

一族の墓に入れない

現代では、性転換が受け入れられる社会に変わりつつあります。

でも、当時は、親から与えられた大事な身体にメスを入れるなんて受け入れられないことでした。
そのため、中には、去勢した息子を軽蔑する親がいました。

親から見捨てられた宦官は一族の墓に入ることを許されませんでした。

頼れる身内がいない

紹介したように、親から見捨てられた宦官には、頼れる身内がいません。
宮廷を追い出されても行き先のない宦官は皇帝に従い、皇帝のために献身的に働きました。

老化スピードが速い

去勢すると、男性ホルモンの分泌が低下するため、筋肉がつかなくなります。
猫背になったり、肌にハリがなくなってシワができたりと、老化が早く進みました。

仕事内容は?

后妃や側室が住む後宮は、天皇と皇子以外の男性が入ることのできない場所。
でも、去勢した宦官は男性であっても、後宮の立ち入りが許されました。

唐では、宦官は内侍省に所属していました。

内侍省の仕事内容には、
・朝廷が終わった後に、皇帝の命令を宰相に伝える
・皇后入宮などの儀式を執り行う
・女官の衣装を調達する
・降嫁した公主の参内を記録する
などがありました。

また、女官が働く掖庭局では、女官の名簿を作成したり、女官に仕事を割り振ったりしました。

中国ドラマ「武則天-The Empress-」 | 中国ドラマ | BS無料放送ならBS12(トゥエルビ)」より引用
ドラマ「武則天-TheEmpress-」では、武如意(後の則天武后)が掖庭局で洗濯をしていました。

その他、
① 女官に読み書きや儒学、書道を教える内文学館
② 病気になった女官に医薬を渡したり、亡くなった女官の葬儀を行ったりする奚官局
③ 皇后の馬車を手入れしたり、輿を担いだりする内僕局
④ 宮中の宝物や貨幣、臣下への贈答品を管理する内府局
で働きました。

皇帝の最新の意向、后妃や女官の情報を知ることができた宦官は何でも把握しました。
また、后妃の買い物を代行することで、経済や噂など、街の情報を入手しました。

ゆこ
ゆこ

皇帝よりも宮中や街の事情を知っていた宦官は、次第に権力を強めます。
やがて、宮廷にいなくてはならない存在となりました。

なぜ必要だった?

宦官の仕事内容を紹介しましたが、宦官じゃなくてもできそうな仕事ばかりですよね。

なぜ、宦官が必要とされたのでしょうか。

上記の事務仕事に加えて、宦官はたまに力仕事を任されました。

後宮の修理や家財の運搬、草取りや掃除などは、女性より力のある宦官だからこそできること。
去勢していても女性より力のある宦官は重宝されたんですね。

まとめ:宦官は引き換えに権力を手に入れた

宦官になるメリットデメリット仕事内容必要性を紹介しました。

後宮は天皇と皇子以外の男性が入ることのできない場所でしたが、宦官だけは入ることを許されました。
重要な仕事に携わり、宮中や街の事情を把握していた宦官は、次第に権力を強めていきました。

遣隋使、遣唐使を派遣し、隋や唐の文化や制度を積極的に導入していた日本。
日本が宦官制度を採用しなかった理由を想像してみると、昔の日本がみえてくるかもしれませんね。

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