池波正太郎の時代小説「鬼平犯科帳」の主人公・鬼平のモデルである長谷川宣以。
長谷川平蔵が江戸時代中期に実在した人物だとご存知でしょうか。
鬼平犯科帳のモデル・長谷川平蔵(宣以)の生涯と設立した人足寄場を紹介します。
鬼平犯科帳のモデル・長谷川平蔵(宣以)!
長谷川宣以は延享2年(1745年)生まれで、長谷川宣雄の長男として誕生しました。
火付盗賊改方頭だった長谷川宣雄は、明和9年(1772年)2月に発生した明和の大火で大活躍。
犯人の武州熊谷無宿の坊主・真秀を捕らえてすぐ処刑しました。
功績を称えられた長谷川宣雄は京都町奉行に任命され、長谷川宣以も江戸から京都に移り住みます。
跡を継がず、遊郭に通いつめる
翌年の安永2年(1773年)6月、長谷川宣雄が54歳で亡くなります。
長谷川宣以は跡を継がず、長谷川宣雄の同僚に、
私は江戸で大成します!
と言って、京都から江戸に戻りました。
長谷川宣以は父の遺産を使って、当時流行していた大通りという服装で遊郭に通いつめました。
西丸書院番の番士に任命される
長谷川宣雄の死から3ヶ月後、長谷川宣以は通称を父と同じ平蔵とし、家督を継ぎました。
翌年の安永3年(1774年)には、両番への番入りを果たし、西丸書院番の番士に任命されます。
(旧江戸城西の丸大手門。現在の皇居正門です)
更にその翌年には、儀礼の場で贈答品扱う進物番を任されました。
・天明4年(1784年)には、徒歩組指揮官・西丸徒頭
・天明6年(1786年)には、番方の要職・先手弓頭
に任命されました。
父と同じ火付盗賊改方になる
天明7年(1787年)、老中・松平定信によって、父と同じ火付盗賊改方の当分加役となります。
父の遺産で遊郭に通いつめていたとは、とても思えないような出世を遂げました。
それでも、長谷川平蔵は飾ったり、威張ったりすることはありませんでした。
部下の与力や同心にお酒や食事を与え、盗賊が家に来れば蕎麦を振る舞いました。
同僚の中には「何故、長谷川平蔵を火付盗賊改方に任命したのか…」と不満を漏らす者もいました。
一方で、庶民からは「本所の平蔵様」、「今大岡」と呼ばれ、人気を集めました。
民から信頼を寄せられていることを知った松平定信は、長谷川平蔵をますます重用しました。
寛政元年(1789年)4月、関東を荒らし回っていた盗賊・真刀徳次郎一味を捕らえます。
更に寛政3年(1791年)5月には、盗賊・葵小僧を捕らえ、その10日後には処刑。
事件を次々と速やかに解決しました。
実は、長谷川平蔵の夢は町奉行になること。
長谷川平蔵が葵小僧の起こした事件を早急に解決した時、偶然にも町奉行が空席になります。
もちろん、長谷川平蔵の名前が候補に上がりました。
でも、残念ながら、最終的には別の者が町奉行となりました。
というのも、
・火付盗賊改方から町奉行になった人が過去におらず、前例がなかった
・町奉行になるための慣例だった目付を務めた経験がなかった
からです。
どれだけ仕事を頑張っても出世できない。
そう悟った長谷川平蔵は、松平定信からの信頼だけを心の支えに、引き続き仕事に励みました。
50歳で亡くなる
寛政5年(1793年)に松平定信が失脚すると、その2年後、長谷川平蔵は病を患います。
第11代将軍・徳川家斉から労いの言葉を受け、また、漢方薬・瓊玉膏を贈られました。
寛政7年(1795年)5月、長谷川平蔵は50歳の若さで亡くなりました。
創設した人足寄場とは?
庶民から「本所の平蔵様」、「今大岡」と呼ばれ親しまれた長谷川平蔵。
長谷川平蔵を慕っていたのは庶民だけではありません。
長谷川平蔵が捕らえた罪人もまた、長谷川平蔵を慕っていました。
寛政元年(1789年)、長谷川平蔵は松平定信に「人足寄場の設立」を上申しました。
人足寄場とは、今でいう更生施設。
松平定信から認められた長谷川平蔵は人足寄場の設立の指揮をとることになりました。
人足寄場の初年度予算は米5000俵、金500両で、正直十分な予算ではありませんでした。
また、罪人を人足寄場にできるだけ早く集めなければいけません。
人足寄場を短期・低価格で完成させる必要があったんです。
ところが、翌年の人足寄場の予算は米3000俵、金300両にまで減らされます。
そこで、長谷川平蔵が思いついたのが銭相場を使った金稼ぎ。
為替売買のような手法で利益を上げ、その利益を人足寄場の建築・維持費に充当します。
人足寄場では、罪人は大工や紙漉き、わら細工などに従事しました。
そして、賃金のうち3分の1を天引きして積立に回し、出所時に生計を立てられるように資金として渡しました。
人足寄場の設立によって、
☑ 出所した者が衣食住に困らなくなった
☑ 再犯率が下がった
といわれています。
まとめ:長谷川平蔵は罪人の出所後の生活をサポートしていた!
鬼平犯科帳のモデル・長谷川平蔵(宣以)の生涯と設立した人足寄場を紹介しました。
火付盗賊改方として、罪人を捕らえ、事件を次々と解決した長谷川平蔵。
一方で、部下の与力や同心にお酒や食事を与え、盗賊が家に来れば蕎麦を振る舞いました。
庶民だけでなく、松平定信からも信頼を寄せられた理由がよく分かりますね。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」を楽しむなら、こちらのガイドブックがオススメです。
キャスト紹介と役にかける想い、登場人物の簡単な説明が載っています。
ガイドブックを読めば、ドラマに集中できること間違いなし!
手に取っていただきたい一冊です。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
ブログランキングに参加しているので、もし良ければクリックで応援をお願いします!