足利尊氏が九州に落ち延びるきっかけとなった豊島河原合戦。
でも、足利尊氏は九州に向かいながら、次の一手を打ちました。
① 豊島河原合戦の経過
② 足利尊氏が再起を果たすために講じた2つの手段
を紹介します。
豊島河原合戦の経過
豊島河原合戦とは、建武3年(1336年)2月19日に、
① 後醍醐天皇勢(新田義貞・北畠顕家・楠木正成ら官軍)
② 足利尊氏・直義兄弟
の間で行われた戦いを指します。
紹介したように、建武の乱の中でも、敗北した足利尊氏が九州に落ち延びることになった戦として特に有名です。
官軍が京を出発
1月末に糺河原(ただすがわら)の合戦で足利軍を撃破した後醍醐天皇勢ら官軍。
官軍は京を占領し、数日遅れて、後醍醐天皇も東坂本から京に戻りました。
京を取り戻したといっても、足利尊氏がいつ再び上洛するか分かりません。
足利尊氏にとどめを刺すべく、
① 新田義貞
② 北畠顕家
③ 楠木正成
は軍を率いて、京を出発しました。
湊川に布陣していた足利尊氏は、弟・足利直義に大軍を預けて摂津国に向かわせました。
豊島河原で官軍と足利軍が衝突
2月6日、摂津国の豊島河原で官軍と足利軍が衝突し、戦が始まりました。
足利尊氏が参戦していないことに気付いた楠木正成は次のような作戦を立てます。
① 北畠顕家と新田義貞が足利直義本隊を引きつける
② 楠木正成が迂回して、足利直義本隊の背後に回る
③ 挟み撃ちにして一気に攻める
北畠顕家率いる奥州軍は足利直義本隊に矢を次々と放ちます。
奥州軍に疲れがみえたところで、奥州軍と新田軍が入れ替わりました。
新田義貞の弟・脇屋義助は全軍で突撃し、戦は激しさを増しました。
その時、尼崎から北上した楠木軍が足利直義本隊の後ろを突きました。
楠木正成の菊水紋を見た足利直義は、楠木軍を恐れて湊川に退却します。
足利尊氏の居場所を明確に掴んでいなかった官軍は、
足利直義の退却する場所に足利尊氏がいるに違いない!
と考え、奥州軍の騎馬隊が中心となって足利直義を追撃しました。
足利尊氏の敗走と官軍の退却
官軍が間もなく湊川に到着するという一報を聞いた足利尊氏は、
官軍と戦をするつもりはない。
九州にこのまま逃亡し、兵を立て直して、京に再び上洛する。
と家臣に話しました。
また、奥州を拠点とする北畠顕家を孤立させるために、
・陸奥国の留守家任
・常陸国の佐竹義敦
を呼び出して、奥州と関東の豪族を味方に取り込むように指示しました。
足利直義を追撃し、湊川に到着した楠木正成は、官軍に退却するよう命じます。
湊川の面する瀬戸内海に、周防国の大内弘幸の軍船が見えたからです。
① 足利尊氏が大内氏の軍船で逃げること
② 足利尊氏を攻撃したら、軍船が官軍の背後に回って上陸し、挟み撃ちされること
を察した楠木正成は、今の足利尊氏と戦っても、官軍に勝ち目はないと判断しました。
新田義貞は世尊時行房の娘・勾当内侍と別れを惜しんでいました。
新田義貞には安東氏という正妻がいました。
つまり、官軍が足利軍と戦っている間、新田義貞は側室と一緒に京で過ごしていたことになります。
足利尊氏が再起を果たすために講じた手段
大内弘幸の協力を得て、九州に落ち延びることに成功した足利尊氏。
でも、足利尊氏はただ九州に逃げたわけではありません。
再び京に入ることができるように、2つの手段を講じました。
戦いの大義名分を得た
後醍醐天皇を京から追い出し、足利尊氏自らが京入りを果たす。
後醍醐天皇と足利尊氏の戦いは、まさに朝廷と逆賊(朝敵)の戦いでした。
逆賊でなければ、味方をもっと募ることができたのではないか。
そう考えた足利尊氏は持明院統に注目。
大覚寺統(後醍醐天皇)と対立していた持明院統(光厳上皇)に寝返り、
① 南朝方(大覚寺統)
② 北朝方(持明院統と足利尊氏)
の戦い、つまり、朝廷と朝廷の戦いに変化させました。
元弘没収地返付令を公布した
個別安堵法や諸国平均安堵法を公布し、所領を厳しく管理した後醍醐天皇。
対して、足利尊氏は元弘没収地返付令を公布し、建武の新政下で所領を失った武士を取り込むことにしました。
足利尊氏が備後国鞆に到着した頃、光厳上皇から後醍醐天皇追討の院宣が下されました。
足利尊氏は錦御旗を堂々と掲げ、大勢の味方と共に再び京に進軍し、湊川の戦いが勃発することになります。
まとめ:豊島河原合戦で敗北しても、足利尊氏は諦めなかった!
① 豊島河原合戦の経過
② 足利尊氏が再起を果たすために講じた2つの手段
を紹介しました。
豊島河原合戦を経て、足利尊氏は九州に落ち延びることになりました。
足利尊氏は九州に落ち延びる道中、
① 朝廷と朝廷の戦いに変化させ、戦いの大義名分を得る
② 元弘没収地返付令を公布して、武士を取り込む
などして、再起を図りました。
足利尊氏は九州に向かいながら、戦のエネルギーを蓄えていたんですね。
足利尊氏は大河ドラマ「太平記」に登場しています。
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