【唐】三省六部、宰相制度、九寺一台五監についてわかりやすく解説

日本で701年に制定された大宝律令。
701年は大宝元年だったので、その年号を取って大宝律令と呼ばれるようになったといわれています。

大宝律令は唐の律令を参考にしてつくった制度ですが、唐の律令とはどのようなものだったのでしょうか。

唐の律令制度の要だった三省六部、そして、朝廷を支えていた宰相制度、九寺一台五監について、わかりやすく解説します。

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唐の三省六部とは?

唐の官制は律・令・格・式からなる律令制をベースに整備されました。

おゆう
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律は刑法、令は行政法、格は補足改正、式は施行細則を指します。

皇帝の下に三省六部という政治の中枢機関がありました。

三省は尚書省、門下省、中書省の3つ、六部は吏部、刑部、兵部、礼部、戸部、工部の6つです。

尚書省は行政を担当し、尚書省の下に吏部、刑部、兵部、礼部、戸部、工部が置かれていました。

また、中書省が作成した詔勅の草案を、門下省が審議していました。

門下省のチェック体制が機能することで、皇帝や中書省が独裁政治を行えない仕組みができていました。

唐の宰相制度とは?

宰相とは、中国王朝において、皇帝をサポートした最高位の官職です。
政策の決定は、宰相が相談して行いました。

当初、尚書令(尚書省長官)、侍中(門下省長官)、中書令(中書省長官)が宰相を兼任していました。

ところが、唐の第2代皇帝・太宗の時代になると、皇帝が尚書令に自ら就任したため、尚書僕射(尚書省副官)が尚書省の実質的なトップとなり、尚書僕射、侍中、中書令が宰相を兼任することになりました。

おゆう
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ここで気になるのが地位の高低です。

侍中、中書令が門下省、中書省の長官であるのに対し、尚書僕射は尚書省の副官。
長官と副官が肩を並べて、宰相を務めるとなると、お互いに気を遣ってしまいます。

そこで、682年、同中書門下平章事という臨時の官職が設けられました。

同中書門下平章事の中書は中書令を、門下は門下侍中を指します。

つまり、同中書門下平章事に任命された者は、中書令、侍中と同じ地位に立つことができるようになったんです。

おゆう
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尚書僕射であっても、同中書門下平章事に任命されれば、中書令、侍中と同じ、立派な宰相として認められたんですね。

同中書門下平章事というこの便利な肩書は、尚書僕射だけでなく、中書侍郎(中書省次官)や門下侍郎(門下省次官)、節度使などにも与えられました。

唐の九寺一台五監とは?

三省六部について紹介しましたが、三省六部の他に、九寺一台五監という事務執行機関がありました。

九寺

九寺とは、太常寺、光禄寺、衛尉寺、太僕寺、大理寺、鴻臚寺、宗正寺、司農寺、太府寺の9つの役所です。

太常寺:礼儀や祭祀を司る
光禄寺:宴会やその飲食の準備を司る
衛尉寺:武器の官吏や宮廷の警備を司る
太僕寺:馬の厩舎の管理を司る
大理寺:裁判、刑罰を司る
鴻臚寺:外国使節の対応を司る
宗正寺:皇室の戸籍や墓の管理を司る
司農寺:穀物や貨幣の管理を司る
太府寺:貿易や国庫の管理を司る
おゆう
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長官は卿、次官は少卿と呼ばれました。

一台

一台とは監察機関である御史台です。

御史台の下に中央官庁の監察を司る台院、宮中の監察を司る殿院、地方の監察を司る察院の3つが置かれました。

唐は二級制で、州(もしくは郡)、県の2つに分けられていました。
州は358、州は1551にも及びました。
重要な州には都督府を置き、また、異民族から勝ち取った占領地には都護府を置きました。
おゆう
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御史台の長官は御史大夫、次官は御史中丞と呼ばれました。

五監

五監とは、国子監、少府監、将作監、軍器監、都水監の5つの役所です。

国子監:国子学や太学などの実務を担当する官吏の養成学校の管理を司る
少府監:宮中で使用する衣服や金属製品の製造を司る
将作監:宮廷、城壁や役所などの土木建築を司る
軍器監:武器の製造や修理を司る
都水監:河川や運河などの修復を司る

まとめ

唐の律令制度の要だった三省六部、そして、朝廷を支えていた宰相制度、九寺一台五監について解説しました。

唐の律令制度を参考に、日本は701年に大宝律令を制定し、718年には養老律令を制定しました。

日本では三省六部ではなく、二官八省と呼ばれる、行政を担当する太政官、祭祀を担当する神祇官の2官を設け、太政官の下に、中務省、式部省、治部省、民部省、兵部省、刑部省、大蔵省、宮内省の8つの省を置きました。

このうち、宮内省は1947年まで存在し、1200年以上にわたって設置されました。

遣唐使が持ち帰った唐の官制が戦後まで用いられていたと考えると、唐の官制がいかに魅力的だったかが分かりますね。

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