一橋家の家老として、一橋治済の子・家斉を将軍職に就けた田沼意致。
ところが、田沼意致は間もなく罷免され、一橋家に人生を振り回されます。
徳川家斉を将軍にした田沼意致が罷免された理由と晩年を紹介します。
徳川家斉を将軍にした田沼意致
田沼意致は寛保元年(1741年)生まれ。
田沼意次の弟・田沼意誠の長男として誕生しました。
つまり、田沼意致は田沼意次の甥にあたります。
一橋治済の世話役になる
田沼意誠は御三卿の一つ・一橋家の初代当主・一橋宗尹のもとで小姓を務めていました。
一橋宗尹から高く評価された田沼意誠は、宝暦9年(1759年)に一橋家の家老職となります。
もちろん、田沼意致が一橋家に仕えるのは自然な流れ。
田沼意致は第二代目当主・一橋治済の世話役となりました。
江戸城の西丸目付になる
安永3年(1774年)、田沼意致は家督を相続。
徳川家治の長男・徳川家基のもとで、江戸城の西丸目付に任命されました。
一橋家の家老になる
安永8年(1779年)、徳川家基が急死。
徳川家治は急死した長男・徳川家基の他、次男・貞次郎を授かっていましたが、貞次郎もまた生後3ヶ月で亡くなっています。
つまり、徳川家治には世継ぎがいなかったんです。
一橋治済は田沼意致を家老とし、田沼家との結びつきを強めました。

というのも、長男・家斉を徳川家治の養子にするためです。
徳川家治は父・徳川家重の遺言に従って、田沼意次を重用していました。
更に、徳川家治が老中になった田沼意次に幕政を任せていたため、田沼意次が実権を握っていました。
田沼意致を通じて田沼意次に働きかける。
そうすれば、家斉を徳川家治の養子に、ゆくゆくは将軍職に就けることができるかもしれません。
一橋治済は長男・家斉を徳川家治の養子にしました。
田沼意致は徳川家斉を次期将軍にするために力を注ぎます。

ところが、次期将軍の有力候補がもう一人いました。
徳川家治の異母弟・清水重好です。
徳川家斉を次期将軍にする
そこで、田沼意致は実権を握る田沼意次の力を借ります。
結果、天明元年(1781年)、徳川家斉を次期将軍とすることに成功。
功績を上げた田沼意致も徳川家斉の側近になりました。
天明6年(1786年)に徳川家治が死去すると、翌年、徳川家斉は江戸幕府第11代将軍に就任しました。
田沼意致が罷免された理由
次期将軍は徳川家斉とすると決まったのが天明元年(1781年)。
徳川家斉が将軍に就任したのが天明7年(1787年)。

この6年の間に、田沼家には災難が降りかかり、田沼意致は罷免されます。
田沼意致が罷免された理由は2つあります。
伯父・田沼意次の権力の衰退
天明4年(1784年)、田沼意次の長男・田沼意知が佐野政言に斬られます。
この時に負った傷が原因で、田沼意知は死去。
罪人であるはずの佐野政言は世間から「世直し大明神」として崇められます。
田沼意次は権力をあっという間に失いました。
松平定信と一橋治済の画策
幕府内では田沼派の一掃が始まります。
もちろん、田沼意次の甥である田沼意致もその対象の一人。
御側御用取次に任命されたわずか8ヶ月後には、その職を罷免されます。
田沼意致の罷免したのは、徳川家斉ではありません。
徳川家斉はまだ11歳。
若い徳川家斉に代わって実権を握っていたのは、松平定信と一橋治済です。
松平定信は田沼意次と対立していました。
そして、実は、一橋治済が反田沼派の黒幕だったんです。
田沼家を利用するだけ利用して、一橋治済は田沼家を一掃したんですね。
田沼意致の晩年
徳川家斉は松平定信を老中首座に任命し、松平定信により「寛政の改革」が始まります。
ところが、後に、一橋治済・徳川家斉親子と松平定信が対立。
寛政5年(1793年)、徳川家斉は松平定信を罷免し、田沼意致を御側御用取次として再登用しました。
寛政8年(1796年)、田沼意致は55歳で亡くなりました。
まとめ:徳川家斉は田沼意致を評価していた!
徳川家斉を将軍にした田沼意致が罷免された理由と晩年を紹介しました。
一橋家の家老として、伯父・田沼意次の力を借り、一橋家の繁栄に尽力した田沼意致。
ところが、反田沼派の松平定信と一橋治済の画策により罷免されてしまいました。
田沼意致が再登用されたのはその6年後。
再登用に長い年月がかかりましたが、徳川家斉が田沼意致を評価していたことがよく分かりますね。
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