徳川家康は薬学博士!薬草園をつくった目的と今も使用される八味丸

江戸幕府の初代将軍である徳川家康には、薬学博士という別の顔がありました。

徳川家康がみせた薬学博士の顔と薬草園をつくった目的、今も使用される八味丸を紹介します。

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徳川家康は薬学博士!

健康オタクとして知られる徳川家康。
粗食を心がけ、趣味の鷹狩りで身体を動かすなど、健康的な生活を常に意識していました。

やがて、徳川家康の関心は薬にまで広がります。

小牧・長久手の戦いで豊臣秀吉と争った際、徳川家康は背中に腫瘍ができてしまいました。

「腫瘍に悩んでいる場合ではない!」と、腫瘍に薬を塗って応急処置をしたところ、なんと完治。
これをきっかけに、徳川家康は薬に興味をもち始めました。

特に、慶長12年(1607年)に「本草綱目」を入手した後は、自ら調合したり、調合を指示したりするようになりました。

「本草綱目」とは、1578年に中国で完成した最大の薬学本です。
52巻にわたって、1892種類の薬を紹介しています。
儒学者・林羅山が徳川家康に献上しました。

三男・徳川秀忠に将軍職を譲った後、徳川家康は駿府に移り住みます。
そして、侍医・片山宗哲らと「本草綱目」の研究会を開きました。

徳川家康は数多くの薬を調合しましたが、有名なエピソードをもつ薬は紫雪と万病円です。

紫雪

紫雪は、風邪や驚風、てんかんに効能があります。

徳川家康の九男・徳川義直が高熱を出した際、徳川家康が片山宗哲に調合を指示して飲ませたところ、無事に回復しました。

万病円

万病円は原因不明の胸の痛み、お腹の痛み、腰痛や便秘に効能があります。

万病円の効能は幅広かったため、徳川家康は常備薬として用いていました。

慶長16年(1611年)、伏見城にいた徳川家康に会う目的で京都を訪れた細川忠興は、何の前触れもなく突然倒れてしまいました。

実は、細川忠興には胸やお腹の痛みに関する持病がありました。
徳川家康は名代として出仕した細川忠興の三男・細川忠利に万病円を渡し、細川忠興に服用させました。

無事回復した細川忠興は、回復したその日のうちに、徳川家康のもとを訪れて、御礼を述べました。

徳川家康が薬学に通じているという噂を耳にした公家・日野輝資は寸白(寄生虫症)に悩む菩提院のために、徳川家康や侍医に調合を依頼しました。

やがて、自ら調合した薬ばかり飲むようになった徳川家康に、片山宗哲は、

医者が調合した薬以外は服用するべきではない。

と諫言します。
自分の知識と腕に自信のあった徳川家康は、片山宗哲を信州高島藩に配流しました。

片山宗哲が配流された直後に、徳川家康は病死しました。

片山宗哲は配流されただけで、知行を没収されるといった他の処分を受けていません。
徳川家康も「片山宗哲のアドバイスを聞かなければいけない」と思っていたのかもしれませんね。

薬草園をつくった目的

徳川家康は駿府城の北に薬草園をつくりました。

その敷地の広さは、なんと4300坪。
薬不足などの万が一の場合に備えて、薬草から薬を作ることができるよう、薬草を栽培していたんです。

薬草が余った場合には、余った薬草を販売して財政の足しにしていました。

広大な薬草園では、当時114種類もの薬草が栽培されていて、大場久四郎が管理を任されていました。
1800年代に突入すると、栽培される薬草の種類はグッと減ってしまいます。

200年も経てば気候が変わったり、不要だと判断された薬草もあったりしたのかもしれません。
現在では、徳川家康のつくった薬草園を復活させようと観賞用の薬草が栽培されています。

今も使用される八味丸

腎臓や膀胱の疾患、脳出血や糖尿病、動脈硬化や高血圧、低血圧など、さまざまな症状に効能のある八味丸。

八味丸は現在でもよく使用されていますが、実は、徳川家康が特に愛用していた薬の一つです。

徳川家康専用の薬箱の上から8段目の引き出しに保管していたことから、「八の字」と呼ばれていました。

慶長18年(1613年)、75歳を過ぎた本多正信は病を患いがちに。
本多正信は駿府から江戸に戻ることとなりました。

本多正信を心配した徳川家康は、万病円200粒と八味丸100粒を贈って回復を願いました。

まとめ:隠居した徳川家康は大名を病から救っていた!

徳川家康がみせた薬学博士の顔と薬草園をつくった目的、今も使用される八味丸を紹介しました。

医学や薬学が発展していない江戸時代に自ら調合して服用していた徳川家康。

徳川家康の薬学に対する熱心な姿勢は、興味や好奇心だけでは長続きしません。
徳川家康の持ち味である根気強さが大きく関係しているのではないでしょうか。

大河ドラマ「どうする家康」をもっと楽しむなら、こちらのガイドブックがオススメです。

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