版元・蔦屋重三郎のもと、北尾重政と共同で「青楼美人合姿鏡」を出版した勝川春章。
でも、勝川春章を有名絵師にのし上げたのは美人画ではなく、役者絵でした。
勝川春章の生涯と作風、弟子を紹介します。
勝川春章ってどんな人?
勝川春章は享保11年(1726年)、または、寛保3年(1743年)生まれ。
出自については、
① 勝川春章が江戸に住み始めた
西福寺(東京都台東区)の過去帳に父の名前が記載されていないため
② 父は医者で葛西に住んでいた
勝川春章の友人で絵師・高嵩月の「画師冠字類考」に記載されているため
の2つの説があります。
本名も伝わっておらず、絵師として活躍するまでの経歴はよく判っていません。
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勝川春章の師は
① 宮川派の祖・宮川長春の門人である宮川春水
② 高嵩月の師匠・高嵩谷
③ 向かいの家に住んでいた北尾重政
の3人。
勝川春章は当初画姓を宮川としていましたが、後に、勝宮川、そして、勝川と改名しました。
一筆斎文調と共同で「絵本舞台扇」を刊行
明和7年(1770年)、浮世絵師・一筆斎文調とタッグを組み、「絵本舞台扇」を刊行します。
「絵本舞台扇」は1000部も売れ、勝川春章は一躍人気絵師になりました。
推し活グッズ「東扇」を刊行
安永5年(1776年)には、「東扇」を刊行します。
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「東扇」もまた歌舞伎役者の上半身を扇形の枠に描いた作品。
でも、「絵本舞台扇」との違いは、「東扇」で推し活グッズを作れること。
枠に沿って切り取って、扇として使用することはもちろん、屏風や襖に貼って飾ることもできたんです。
大好きな役者と一緒に出掛けたい、一日中眺めていたいという熱心な役者ファンから大人気の作品でした。
北尾重政と共同で「青楼美人合姿鏡」を出版
役者絵で人気を博した勝川春章。
でも、勝川春章は役者絵を弟子・勝川春好、勝川春英に任せ、自らは美人画に専念しました。
同年、版元・蔦屋重三郎のもと、北尾重政と共同で「青楼美人合姿鏡」を出版。
吉原の妓楼の遊女を紹介した「青楼美人合姿鏡」は、吉原のガイドブックとしても親しまれます。
勝川春章は寛政4年(1793年)に亡くなったといわれています。
☑ 寛保3年(1743年)生まれであれば50歳
で亡くなったことになります。
勝川春章の作風
役者絵で一躍有名絵師となった勝川春章。
もちろん、勝川春章が役者絵を描き始めたわけではありません。
勝川春章が活躍する前、モデルの役者の顔はほぼ同じように描くのが一般的でした。
実は、役者の紋を描いたり、文字を書いたりして、役者を区別していました。
そこで、勝川春章は役者の特徴を盛り込んだ絵を描き、役者ファンから絶大な支持を得ます。
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例えば、「團十郎の楽屋」。
「役者の舞台裏の顔を見たい」という役者ファンの声に応えて出版した作品です。
煙草を手にくつろぐ團十郎といった役者の他。
鏡台や鬘、衣装箱なども描かれ、一般人が出入りできない楽屋の様子を知ることができます。
勝川春章はモデルを似せて描く「似顔」の技術を相撲絵にも取り入れ、相撲ファンからも人気を得ました。
勝川春章の弟子
勝川春章は多くの弟子を育てました。
その中でも、有名な二人の弟子・勝川春好と勝川春英を紹介します。
勝川春好(1743年~1812年)
勝川春好は勝川春章と同じ寛保3年(1743年)生まれ。
勝川春好にとって、勝川春章は師であり、良き仕事仲間でした。
天明末期(1789年頃)から寛政初期(1801年頃)にかけて、勝川春好は役者大首絵シリーズを出版。
大首絵の中でも、特に顔を強調して描いた大顔絵「五代目市川團十郎の暫」が特に有名です。
勝川春好の大顔絵は、後に活躍する東洲斎写楽に影響を与えたといわれています。
勝川春英(1762年~1819年)
勝川春英は天明期(1781年から1789年)に、勝川春章・春好と共に役者絵を描きました。
勝川春英の大首絵「三代目瀬川菊之丞の油屋おそめ」は版元・上村与兵衛から出版されました。
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上村与兵衛は豪華な摺りの役者大首絵を多く手がけた版元。
勝川春英が大きな期待を寄せられていたことが分かります。
勝川春章が亡くなった後は、人気浮世絵師・歌川豊国のライバルとして大首絵や全身像を描いて活躍しました。
まとめ:約250年前に勝川春章は推し活グッズを作っていた!
勝川春章の生涯と作風、弟子を紹介しました。
絵師として活躍するまでの経歴が謎に包まれている勝川春章。
勝川春章が歴史に名を残しているのは、素晴らしい作品と弟子を生み出したからだとよく分かりますね。
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