豊臣秀吉(当時は木下藤吉郎)が一夜で築いたと伝わる墨俣一夜城。
何故、豊臣秀吉は短期間で築城しなければいけなかったのでしょうか。
豊臣秀吉が墨俣一夜城を築いた経緯と方法、城のその後を紹介します。
豊臣秀吉が墨俣一夜錠を築いた経緯
永禄8年(1565年)に東美濃を占領した織田信長。

斎藤家の勢力が衰えをみせている今こそ、美濃攻めに決着をつける時だ!
と言って、出陣を決めます。
翌年の永禄9年(1566年)8月、織田信長は美濃の国境へ進軍。
ところが、この時、激しい雨風に襲われました。
織田軍は木曽川を渡って、河野島(現在の岐阜県各務ヶ原市)に入りました。
状況を知った斎藤龍興は居城・稲葉山城から河野島へ進軍。
織田軍は木曽川に沿って後退して陣を張り、斎藤龍興も境川に沿って布陣しました。
夜になっても、雨風はやみません。

伊木山城の堤が数ヶ所崩れ、櫓の一つが足場を失って倒壊するほどの豪雨でした。
木曽川沿いは低湿地で水はけが悪く、兵糧は水浸しに。
また、なんとか食べられそうな兵糧も水に流されてしまいます。
天候が落ち着いたところで、織田軍は一旦撤退することに決定しました。
織田軍はお金で雇われた兵が多く、織田信長から逃げきれば、誰にも咎められることはありません。
そのため、兵はなんとか逃げ延びようと、木曽川に飛び込んだり、走って逃げたりしたんです。
豊臣秀吉軍からも100人以上の溺死者、行方不明者が出て、居城・伊木山城に引き上げました。
(斎藤龍興の居城・稲葉山城は後の岐阜城)
稲葉山城を居城とする斎藤軍は川を渡らず、地続きで応戦することができます。
長良川の流れを利用して、兵糧を随時補給することもできます。
対して、織田軍は木曽川を渡って、向こう岸に着岸しないと戦えません。
また、着岸した兵の数だけ兵糧を運ばなければいけません。

そして、再び撤退することになったら、再び多くの溺死者を出してしまいます。
そこで、豊臣秀吉は木曽川の対岸、つまり敵地に城を築く役を買って出ます。
築いた城から出陣すれば、攻撃を受けたり溺死者を出したりするリスクが減ります。
また、兵糧補給の基地にすれば、大軍であっても長期の戦が可能だと考えたんです。
豊臣秀吉が墨俣一夜城を築いた方法
敵地に城を築き、そこから出陣することにした豊臣秀吉。
でも、敵地で長い日数をかけて城を築いていては、その間に襲撃されてしまいます。
① 櫓や柵の材料を集める
② 川上である程度組み立てておく
③ 組み立てた材料を下流に流す
④ 陸では打ち据え、組み立てるだけにする
という事前準備と分業による短期の築城方法を考えました。
通常、城の築城には最低でも2ヶ月かかります。
でも、ある程度組み立てた材料を持ち込んで、5日程度で築城することも不可能ではありません。
織田信長は国中から大工を集め、武士や足軽の居住用の長屋、櫓、塀、柵の木材を用意させました。
そして、長良川上流に材料を運び上げ、夜に組み立てた材料を下流に流し、墨俣で陸揚げさせました。

同時に尾張の全軍を3つに分け、1つを自ら指揮して防戦にあてました。
残りの2つは豊臣秀吉に任せ、築城工事にあたらせました。
斎藤龍興が狙うのは当然織田信長の首。
でも、時は丁度稲刈りの時期で、斎藤軍は農民兵を集められません。
織田信長が少数になった斎藤軍を惹きつけている間に、豊臣秀吉は5日で墨俣城(墨俣一夜城)を築きました。
墨俣一夜城のその後
城が完成すると、織田信長は豊臣秀吉に1500の兵を与えました。
また、当時はまだまだ珍しい鉄砲を100 挺以上貸し出しました。
墨俣城は早速斎藤軍の攻撃を受けましたが、豊臣軍は無事撃退。
斎藤軍が撤退するとすぐ、城兵は城塞の補強工事にあたりました。
織田信長は墨俣城を拠点に、美濃攻略に成功。
この戦功が、織田信長家中での豊臣秀吉の地位を大きく高めたとされています。
美濃攻略に一翼を担った墨俣城。
天正12年(1584年)4月、池田恒興の家臣・伊木忠次が墨俣城を改修しました。
その2年後の天正14年(1586年)、木曽三川が氾濫し、墨俣は戦略上の重要性を失います。
以降、この地が城として使われることはなくなりました。
現在、墨俣城跡は墨俣一夜城址公園になっています。
・大垣城天守を模した「墨俣歴史資料館」
・豊臣秀吉を祀る「豊国神社」
などがあり、観光地としても人気を集めています。
まとめ:墨俣一夜城は5日間で完成した!
豊臣秀吉が墨俣一夜城を築いた経緯と方法、城のその後を紹介しました。
斎藤軍の稲刈りの時期に合わせて、美濃攻略の足がかりとして築かれた墨俣城。
当時の墨俣城はわずか5日間で築城されたことから、砦に近かったのではないかと考えられています。
墨俣城の築城から34年後、豊臣秀吉は小田原に石垣山一夜城を築きます。
豊臣秀吉のこの発想は墨俣城がヒントになっているのかもしれませんね。
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