唐の第2代皇帝・太宗には、21人もの皇女がいましたが、その中で最も有名なのが高陽公主です。
則天武后に関するドラマに必ずと言っていいほど登場する高陽公主。
高陽公主はどのような人物なのでしょうか。
高陽公主の生涯、房遺愛との夫婦関係、弁機との愛人関係を紹介します。
高陽公主ってどんな人?
高陽公主は唐の第2代皇帝・太宗の第17皇女で、第3代皇帝・高宗の妹です。
房遺愛と結婚する
太宗には21人の皇女がいましたが、高陽公主は特に可愛がられて育ち、太宗のもとで貞観の治を築いた腹心・房玄齢の次男・房遺愛と結婚しました。
義兄・房遺直と遺産争いする
房玄齢が亡くなると、長男・房遺直と房遺愛は遺産を分割することになりました。
高陽公主に相続権はありませんが、房遺愛が手にした財産は夫婦二人のものになります。
できるだけ多くの財産が欲しかった高陽公主は、房遺直に不公平な遺産分割の話をもちかけました。
もちろん、房遺直は承諾せず、遺産分割が思いどおりに進まない高陽公主はいらだち、房遺直に暴言を吐きました。
遺産分割は揉めに揉め、訴訟に発展。
結局、遺産は均等に分割することになりましたが、皇室の名誉を汚したとして、房遺愛は房州(湖北省十堰市)刺史に、房遺直は汴州(河南省開封市)刺史に左遷となりました。
クーデターに失敗し、自害を命じられる
房遺愛の処分に納得できなかった高陽公主は、兄・李恪に愚痴をこぼしました。
皇太子に冊立されなかった李恪は梁州(陝西省漢中市)都督に任命され、都から遠ざけられていたので、高陽公主は李恪に愚痴を言いやすかったんです。
でも、高陽公主の怒りは治まりませんでした。
そもそも、房遺愛が左遷されたのは、遺産分割が揉めたせいで、遺産分割が揉めたのは、房遺直が(不公平な)条件を飲まなかったから。
房遺直に怒りを募らせた高陽公主は、高宗に「房遺直が無礼を働いた」と嘘をつきました。
高宗が房遺直を尋問すると、高陽公主と李恪が会っていることを知っていた房遺直は、一縷の望みをかけて、「高陽公主がクーデターを企んでいる」と嘘をつきました。
実は、房遺直のこの嘘は真実。
高陽公主と房遺愛、高陽公主の叔母・丹陽公主とその夫・薛万徹、高陽公主の姉・巴陵公主とその夫・柴令武は朝廷に不満を抱いていて、クーデターを起こして、唐の初代皇帝・高祖の第6皇子・李元景を皇帝に冊立しようとしていたんです。
高宗は房遺愛を呼び出し、真実を尋ねました。
すると、房遺愛は素直に白状しましたが、「李恪もクーデターに関わっていた」と嘘をつきました。
李恪はクーデターと無関係ですが、朝廷から疎まれてきた李恪を処刑できるきっかけを作れば、自分は助かると思ったんです。
とんだとばっちり。
結局、房遺愛のひらめきは虚しく、薛万徹、柴令武は処刑され、高陽公主、巴陵公主、李元景、李恪は自害を命じられました。
房遺愛との奇妙な夫婦関係
高陽公主は傲慢で、自由奔放なお嬢様。
房遺愛は父親とは正反対の腕っぷしが強いだけの男。
こんな夫婦がうまくいくはずがありません。
でも、二人は離婚しませんでした。
二人には愛人がいて、浮気をお互いに認めていたからです。
どちらかが愛人と別れると、次の愛人を紹介し合っていたので、二人とも暇をもてあますことはありませんでした。
仲の冷え切った仮面夫婦でありながら、遺産分割やクーデターなどでは力を合わせる奇妙な夫婦関係ですね。
弁機との浮気話
浮気をお互いに認めていた高陽公主と房遺愛。
ところが、奇妙な夫婦関係が世間に露呈する事件が起きます。
高陽公主には僧・弁機という愛人がいました。
太宗が「大唐西域記」の執筆を依頼した僧・玄奘の同僚でした。
弁機は「大唐西域記」の執筆で忙しくなると、仕事を理由に、高陽公主に別れを告げました。
お互いが嫌いになって別れるわけではありません。
高陽公主は弁機に金の刺繍が施された枕をプレゼントしました。
その後、弁機の部屋に泥棒が入り、枕が盗まれてしまいました。
被害届を出せば、高級な枕を持っている理由を問い詰められてしまいます。
弁機は被害届を出しませんでした。
ところが、逮まった泥棒が弁機の部屋から盗んだと白状してしまいました。
御史台(監察機関)は、弁機を訪ね、高級な枕を持っていた理由を問い詰めました。
嘘をつくことができなかった弁機は、高陽公主から貰ったと話し、高陽公主が浮気していたこと、房遺愛が黙認していたことが世間に露呈してしまいました。
まさにスキャンダル。
庶民同士ならまだしも、夫のいる皇族と僧の浮気。
宮中や街は、禁じられた恋の話題で持ちきりになりました。
皇族の名誉を汚されたとして、太宗は弁機を斬り、高陽公主は宮廷の出入りを禁止されました。
まとめ
高陽公主の生涯、房遺愛との夫婦関係、弁機との愛人関係を紹介しました。
高陽公主は唐の第2代皇帝・太宗の第17皇女で、夫の遺産分割に首を突っ込んで訴訟に発展させたり、夫婦で愛人を紹介し合ったりと、自由奔放なお嬢様でした。
浮気しながらも、夫が左遷されると不満を抱いていた高陽公主。
もしかしたら、寂しさを埋めるために、そして、夫に弱い一面を見せないために、愛人を探していたのかもしれませんね。
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