【梁】蕭正徳ってどんな人?武帝(蕭衍)を恨んだ理由は?

わずか1000人の兵を率いて挙兵した侯景。
蕭正徳の協力がなければ、侯景は梁の都・建康を陥落できませんでした。

侯景に協力した蕭正徳とは、どのような人物なのでしょうか。

蕭正徳の生涯、武帝(蕭衍)を恨んだ理由を紹介します。

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蕭正徳ってどんな人?

蕭正徳は武帝(蕭衍)の弟・蕭宏の3男として生まれました。

おゆう
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つまり、蕭正徳と武帝は甥、伯父の関係です。

蕭正徳の生まれ年は判っていませんが、蕭衍が即位する前、蕭衍が男の子を授かっていなかったという理由で、蕭衍は蕭正徳を後継者として養子に迎えました。
その後、501年9月、蕭衍に長男・蕭統が産まれているため、蕭正徳はそれ以前に産まれていたと考えるのが妥当です。

502年5月、蕭衍は梁の初代皇帝・武帝として即位すると、武帝は蕭正徳を差し置いて、蕭統を皇太子に冊立しました。

武帝の後継者として養子に迎えられた蕭正徳は、当然自分が皇太子に冊立されるものだと思っていましたが、皇太子候補から外されて、西豊県侯に封じられただけでした。
そのため、蕭正徳は武帝に裏切られたと感じ、民から盗んだり、民や妹・長楽公主と関係をもった後に殺したりと、悪事を働くようになりました。

522年には、北魏に亡命。
北魏が蕭正徳を受け入れなかったため、翌年523年には梁に帰りましたが、武帝は蕭正徳の罪を問いませんでした。

その後、征虜将軍に、525年には軽車将軍となり、武帝の第2皇子である従弟・蕭綜と共に北伐しましたが、蕭正徳は戦いを避けただけでなく、軍を棄てて逃げて、免官処分となり、臨海郡(浙江省台州市)に左遷されました。

532年、臨賀郡王に封じられ、533年には中護軍となり、その後、丹陽尹となりましたが、免官処分され、そのうえ、左遷されたことを根に持っていました。
蕭正徳は密かに兵と食糧を集めて、挙兵する機会をうかがいました。

蕭正徳が武帝に不満を抱いていると知った侯景は、548年8月、蕭正徳に挙兵をもちかけ、蕭正徳はすんなり同意しました。

蕭正徳を信頼していた武帝は、蕭正徳を平北将軍に任命して、侯景を討伐するよう命じました。
侯景が挙兵して、揚子江の北岸に到着したと報告を受けた蕭正徳は、大きな船を数十船用意して、燃料として荻を運ぶと嘘をついて、侯景に兵器を送り届けました。

10月、侯景は都・建康まで30kmも離れていない場所まであっという間にたどり着き、建康を奇襲することができました。
侯景が建康を攻撃すると、宣陽門を守っていた蕭正徳は侯景を迎え入れ、侯景は抵抗を受けることなく建康城内に入りました。

11月、武功を上げた蕭正徳は、侯景によって皇帝に擁立されて即位しました。

第1皇子・蕭見理を皇太子に冊立し、侯景を丞相に任命して、娘を侯景の側室として嫁がせました。

549年3月、侯景が建康を陥落すると、侯景にとって、蕭正徳の利用価値はなくなり、蕭正徳は侯景によって廃位された後、侍中・大司馬に降格となりました。

侯景に利用され、見捨てられた蕭正徳は、武帝に謁見し、梁を裏切ったことを泣いて謝罪しました。

おゆう
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武帝は「泣いても、今更どうしようもない」と言って、蕭正徳を突き放しました。

侯景に手を貸したことを後悔した蕭正徳は、従弟・蕭範と共に侯景を討伐しようと手紙を送りましたが、侯景に気付かれて、永福省(ベトナムのヴィンフック省)で殺されて亡くなりました。

武帝(蕭衍)を恨んだ理由は?

紹介したように、武帝を恨んでいた蕭正徳は侯景に協力し、侯景の反乱を成功に導きました。

蕭正徳が武帝を恨んでいた理由は、
①後継者として養子に迎えられたにも関わらず、実子が誕生するなり、後継者から外されたこと
②北伐で成果を上げられず、免官処分され、また、左遷されたこと
の2つです。

北伐では戦わずに、軍を棄てて逃げたため、免官処分され、また、左遷されたのは仕方がないかもしれません。
でも、実父のもとを離れたにも関わらず、武帝に実子が誕生するなり見捨てられたことには、同情の余地があるのではないでしょうか。

まとめ

蕭正徳の生涯、武帝(蕭衍)を恨んだ理由を紹介しました。

蕭正徳は養父である武帝に裏切られ、協力した侯景にも裏切られました。
そして、侯景に協力したことを後悔し、武帝に謝罪するも突き放されて、最期は侯景に殺されてしまいました。

武帝は蕭統を皇太子に冊立すると同時に、蕭正徳を実父のもとに帰してあげるべきだったのかもしれませんね。

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