世界史の教科書に登場する安史の乱の首謀者・安禄山。
安禄山はどのような人物なのでしょうか。
安禄山の生涯、楊貴妃と赤ちゃんごっこしたエピソードを紹介します。
安禄山ってどんな人？
安禄山は703年生まれで、柳城（遼寧省朝陽市）の出身。
康氏が早くに亡くなり、母は同じ突厥の名門・安延偃と再婚しました。
ところが、突厥の内乱に巻き込まれて、安禄山は安延偃の親戚・安貞節を頼って唐へ亡命することになりました。
張守珪に仕える
ソグド人と突厥のハーフである安禄山は、6つもの言語を話すことができました。
その才能を活かして、互市牙郎と呼ばれる貿易仲介人に就きました。
732年、幽州節度使・張守珪に才能を認められ、盟友・史思明と共に張守珪に仕えました。
張守珪から気に入られた安禄山は養子に迎えられました。
733年、安禄山は都に奏上文を届けに行きました。
張守珪のもとで手柄を立てていた安禄山の名前は、都で既に知られていて、安禄山は注目の的でした。
平盧節度使に任命される
736年、平盧討撃使兼左驍衛将軍に任命され、安禄山は奚と契丹の討伐を任されました。
ところが、安禄山にしては珍しく討伐に失敗。
奚と契丹に負けてしまったんです。
当時、敗北した武将は法によって死刑に処されます。
でも、安禄山を気に入っていた玄宗は、安禄山の官職を剥奪しただけで、死刑には処しませんでした。
740年、平盧兵馬使に任命されました。
更なる昇進を望んだ安禄山は、都から偵察に来る官吏に賄賂を贈り、いい噂を広めるようにお願いしました。
安禄山を信頼した玄宗は、営州都督兼平盧軍使、平盧節度使兼左羽林大将軍、驃騎大将軍と、安禄山を次々に出世させました。
范陽節度使を兼任する
744年には、范陽節度使に任命され、平盧節度使と合わせて2つの節度使を兼ねることになりました。
745年、10年前に敗北した奚と契丹をついに撃破。
安禄山は汚名を完全に挽回し、玄宗からますます信頼されるようになりました。
安禄山が宮廷を訪れる際には、宰相・楊国忠や側室・楊貴妃、その姉・三国夫人が出迎えました。
河東節度使を兼任する
751年、安禄山は河東節度使に任命され、范陽節度使、平盧節度使、河東節度使の3つの節度使を兼任することになりました。
3つの節度使を兼任することになった安禄山の配下には15万人もの兵がいました。
楊国忠と対立する
トントン拍子に出世してきた安禄山。
実は、安禄山の出世を後押ししていたのが、宰相・李林甫です。
李林甫は玄宗が気に入る文官を片っ端から排除するほど、嫉妬心、出世欲が強い人物でした。
楊国忠が頭角を現す前は、楊国忠と手を組んで、宰相・張説や張九齢らを左遷するなどしました。
玄宗が楊国忠を気に入ると、李林甫は楊国忠を妬むようになり二人は対立。
李林甫は楊国忠の代わりに結託できる人物を探していたところ、安禄山にたどり着きました。
安禄山は唐の出身ではなく、ソグド人と突厥のハーフです。安禄山がどんなに活躍しても、玄宗は安禄山を宰相に登用しないだろうと思っていたんです。
ところが、753年、李林甫は病死。
李林甫に代わって筆頭宰相となった楊国忠は、安禄山の出世を妬み、玄宗に「安禄山はクーデターを起こす」と何度も密告しました。
そして、安禄山の謀反心をかき立てるように、安禄山派の武部侍郎・吉温を左遷したうえで殺しました。
挙兵する
楊国忠が嘘の密告を繰り返し、吉温を殺したと知った安禄山は、楊国忠を倒す目的で挙兵することにしました。
755年、安禄山は15万人の兵を率いて、洛陽を目指しました。
安禄山が挙兵したことを知った玄宗は、安禄山の長男・安慶宗を殺してしまいました。
当初、安禄山は玄宗に危害を加えるつもりはありませんでしたが、楊国忠に対してだけでなく、玄宗に対しても恨みを抱くようになりました。
燕を建国し、即位する
15万人もの兵力をもつ安禄山に対して、唐には兵力がありません。
3つの節度使を兼任する安禄山に兵を任せてしまったからです。
また、長い間、国内では反乱が起きておらず、武器の手入れを怠っていたため、武器は錆びついて使い物になりませんでした。
安禄山軍は、高仙芝や封常清、哥舒翰など、唐の名将を続々と殺し、洛陽を奪いました。
756年、洛陽を奪った安禄山は、燕を建国し、雄武皇帝と称して即位しました。
安禄山が挙兵した目的は、楊国忠を倒すこと。
でも、燕を建国した安禄山は満足して、宮中で食べる、寝るを繰り返し、毎日、宮女を踊らせて、宴会を楽しみました。
民は兵の略奪に遭い、兵は最前線で戦っています。
民はもちろん、兵も安禄山に不満を抱き始めました。
55歳で亡くなる
757年、安禄山は糖尿病から失明し、周囲に当たり散らすようになりました。
また、皇太子・安慶緒を廃して、側室・段氏が産んだ安慶恩を皇太子にしようと考え出しました。
皇太子を廃されると知った安慶緒、安禄山から暴力を振るわれていた側近・李猪児、厳荘は、安禄山を暗殺。
安禄山は55歳で亡くなりました。
楊貴妃と赤ちゃんごっこしたって本当？
安禄山について、インターネット検索すると、「安禄山 赤ちゃん」といった関連ワードが表示されます。
実は、安禄山は楊貴妃と赤ちゃんごっこを楽しんだというエピソードがあるんです。
747年、安禄山は玄宗と楊貴妃の養子になりたいと申し出、二人は快諾しました。
楊貴妃は安禄山より14歳も年下です。
中国には、洗児という風習がありました。
裸になった赤ちゃんを湯船に浸けて、誕生を祝う儀式です。
安禄山は金銀の刺繍で作ったオムツを穿いて、輿に乗って参内。
楊貴妃が安禄山の身体を洗って、拭いてあげました。
玄宗は誕生祝いとして、安禄山に財宝や豪邸をプレゼントしました。
まとめ
安禄山の生涯、楊貴妃と赤ちゃんごっこしたエピソードを紹介しました。
安史の乱の首謀者として、世界史の教科書に登場する安禄山。
楊国忠に疎まれていなければ、安禄山は挙兵することなく、敏腕節度使として長く活躍したかもしれませんね。
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