蔦屋重三郎と同じ時期に活躍した版元・鶴屋喜右衛門。
鶴屋喜右衛門の生涯と蔦屋重三郎がライバルだといわれる理由を紹介します。
鶴屋喜右衛門ってどんな人?
鶴屋喜右衛門は江戸時代から明治時代にかけて営業した地本問屋です。
江戸時代初期(寛永年間)、鶴屋喜右衛門は京都で出版をしていました。
手がけた書籍は漢籍、仏書や古典文学など、少々固い印象のあるものがメインでした。
その後、浄瑠璃や仮名草子などの娯楽作品を出版。
中でも、浄瑠璃作品に注力していた鶴屋喜右衛門は「浄瑠璃屋喜右衛門」と名乗っていました。
江戸(日本橋)に出店する
江戸幕府第4代将軍・徳川家綱の治世に入ると、江戸の町が急速に発展。
京都で営業していた地本問屋は続々と江戸、特に日本橋を中心に出店していきます。
その理由は2つあります。
芝居小屋が近かった
本になったものが芝居になったり、芝居になったものが本になったり…
これから芝居を見に行く人や芝居の余韻を楽しむ人が書店に立ち寄りました。
参勤交代の諸大名や商人が通った
当時の紙は薄く、軽い…
本や絵は持ち運びしやすかったので、お土産スポットとして立ち寄りました。
鶴屋喜右衛門にも当然このような目的があり、日本橋に出店します。
そして、鶴の紋が描かれた看板を掲げて営業を開始しました。
喜多川歌麿や山東京伝の作品で蔦屋重三郎と争う
寛文12年(1672年)、武家百人一首を出版します。
源頼朝や義経などの有名武士から室町幕府第11代将軍・足利義澄までの和歌が収められています。
喜多川歌麿や栄松斎長喜、北尾政美などの有名浮世絵師の作品も出版しました。
蔦屋重三郎は喜多川歌麿の美人画を刊行した版元として知られています。
喜多川歌麿が蔦屋重三郎と距離を置くと、鶴屋喜右衛門も同じように喜多川歌麿の作品を刊行しました。
また、戯作者・山東京伝の黄表紙を巡って、蔦屋重三郎と争っていたともいわれています。
文政の大火の被害を受けるも、経営を立て直す
ところが、文政12年(1829年)3月に起きた文政の大火によって、建物が燃えてしまいます。
4ヶ月後には建物を修復し、営業を再開。
柳亭種彦の「偽紫田舎源氏」を出版し、経営を立て直します。
また、歌川広重の「東海道五十三次」を新興の版元・保永堂と共に出版し、更なる巻き返しを図ります。
天保の改革の弾圧を受けて衰退
ところが、天宝4年(1833年)、2代目鶴屋喜右衛門の当主が脳卒中で急死。
天保5年(1834年)2月には、日本橋で起きた大火災によって店舗が延焼。
「東海道五十三次」シリーズは保永堂が単独で出版することとなりました。
保永堂は小さな版元でしたが、「東海道五十三次」を出版し続けたことで一躍有名に。
「東海道五十三次」の他、
・歌川広重の「近江八景」
・歌川広重と渓斎英泉の共同作品「木曽街道六十九次」
を刊行しました。
また、頼みの綱だった「偽紫田舎源氏」。
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紹介したように、室町時代を舞台に書いたものでしたが、
・大奥について書いている
・主人公のモデルは徳川家斉だ
と噂されるように。
天保13年(1842年)、天保の改革によって弾圧を受け、絶版処分となってしまいました。
以降、鶴屋喜右衛門の経営は衰退に向かいました。
鶴屋喜右衛門と蔦屋重三郎がライバルだといわれる理由
蔦屋重三郎の同業者であり、ライバルでもあった鶴屋喜右衛門。
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江戸時代から幕末まで毎年刊行されていた川柳の句集「俳風柳多留」では、
「鶴に蔦こたつの上に二三冊」という句が掲載されています。
鶴屋喜右衛門と蔦屋重三郎の出版した本がこたつの上に置かれている光景を読んだもの。
・鶴屋喜右衛門と蔦屋重三郎が庶民の暮らしに欠かせない出版社であったこと
・お互い良きライバルであったこと
がよく分かりますね。
まとめ:鶴に蔦こたつの上に二三冊
鶴屋喜右衛門の生涯と蔦屋重三郎がライバルだといわれる理由を紹介しました。
喜多川歌麿の美人画や山東京伝の黄表紙を巡って、蔦屋重三郎と争った鶴屋喜右衛門。
二人はお互いを意識するライバルだったんでしょうね。
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