裏切りの多い戦国時代に、愛と義を貫いた直江兼続。
直江兼続は妻・お船に対しても、愛を貫いた愛妻家といわれていますが…。
① 直江兼続は側室のいない愛妻家だったのか
② 妻でいとこのお船との仲
を、お船の生涯と共に紹介します。
直江兼続は側室のいない愛妻家?
明治31年(1898年)に一夫一婦制が確立するまで、日本では側室を置くことが当たり前。
特に戦国時代では、子孫をできるだけ多く残すことが求められ、多くの武将が側室を置きました。

ところが、記録による限り、直江兼続は側室を置いていません。
直江兼続は正室・お船以外婚姻関係を結ばなかったことになります。
2009年放送のNHK大河ドラマ「天地人」(火坂雅志著)。
直江兼続が恋心を抱いた二人の女性、
・千利休の娘であるお涼
・真田昌幸の娘で忍びの初音
が登場します。
二人は架空の登場人物ですが、直江兼続が二人に恋心を抱く描写があります。

というのも、直江兼続は漢文学に関心をもち、自ら漢詩を詠んでいます。
「織女惜別」では、男女の逢瀬を七夕伝説になぞらえて書いています。
また、42歳で書いた「逢恋」では、男女の逢瀬を自然と比較して情熱的に書いています。
直江兼続が誰を思い浮かべ、誰に対して書いた詩だったのかはわかりません。
もちろん、正室・お船に対する愛情表現かもしれませんが、その逆もしかり。
いずれにしても、直江兼続が主君だけでなく、女性に対しても情熱的な人物だったことがわかります。
妻でいとこのお船との仲は?
直江兼続の正室・お船はいとこです。
お船は弘治3年(1557年)生まれ。
上杉謙信の重臣である越後国与板城主・直江景綱の娘として生まれました。
跡継ぎとなる男の子を授からなかった直江景綱。
直江景綱は総社長尾家から信綱を養子に迎え、直江姓を名乗らせてお船と結婚させました。
天正5年(1577年)、直江景綱が亡くなり、直江信綱が家督を相続します。
ところが、天正9年(1581年)に恩賞を巡るトラブルが起き、直江信綱は毛利秀広に殺されてしまいました。
ただ、お船が育てたとされる清融は出家し、高野山龍光院36世住職になったといわれています。
未亡人になったお船は、上杉景勝の命令で樋口兼続を婿に迎えることに。
樋口姓から直江姓に改めた直江兼続との間に、
・天正13年(1585年)には長女・於松
・文禄3年(1594年)には、長男・景明
・次女(生年不詳・本名不明)
を授かります。

直江兼続と結婚してから4年後に授かった子供達。
お船は自分の手で子供を育てたかったかもしれません。
でも、文禄4年(1595年)、上杉景勝の正室・菊姫と共に京都伏見の上杉邸に移ります。
菊姫は武田信玄の娘。
武田信玄の死後、菊姫は上杉景勝に嫁ぎました。
ところが、結婚して3年後、武田家は滅亡してしまいます。
帰る場所を失った菊姫を支えたのはお船でした。
二人は時の権力者・豊臣秀吉の人質として5年間過ごします。
☑ 同じく人質として移っていた前田利家の妻・まつ
☑ 豊臣秀吉の妻・ねね
と交流を深めたといわれています。
慶長9年(1604年)5月、上杉景勝の側室・桂岩院(四辻氏)が長男・玉丸(後の上杉定勝)を出産。
上杉景勝との間に子供を授からなかった菊姫はショックを受け、心身を患い亡くなります。
更に、産後の肥立ちが悪かった桂岩院も出産から3ヶ月で亡くなってしまいました。

生母を失った玉丸を育てたのは、直江兼続・お船夫婦でした。
元和5年(1619年)に直江兼続が亡くなると、お船は剃髪して貞心尼と号しました。
直江兼続とお船に感謝していた上杉景勝は3000石の化粧料を与えます。
お船は直江家の江戸鱗屋敷に住み、直江兼続が生前に出版した「直江版文選」を再版しました。
お船が育てた上杉定勝もまた、3000石の化粧料と40人の徒士侍を与えました。

寛永13年(1636年)、お船が病を患います。
上杉定勝は伊勢で病気平癒祈願を行い、また、自ら見舞いに足を運びました。
翌年寛永14年(1637年)1月、お船は81歳でこの世を去りました。
慶長9年(1604年)、本多正信の次男・政重を長女於松の婿養子に迎えますが、翌年於松は20歳で早世。
また、生まれた時から病弱だった直江景明も慶長20年(1615年)に21歳で早世しました。
直江兼続が亡くなっても、お船は養子を迎えなかったため、直江宗家は断絶しました。
夫婦一丸となって、上杉景勝・定勝親子を支えた直江兼続とお船。
結婚したきっかけは上杉景勝の命令ですが、二人の夫婦仲はとても良好だったのではないでしょうか。
まとめ:直江兼続・お船夫婦は上杉景勝・菊姫夫婦を支えた!
① 直江兼続は側室のいない愛妻家だったのか
② 妻でいとこのお船との仲
を、お船の生涯と共に紹介しました。
主君にだけでなく、女性に対しても情熱だった直江兼続。
その妻・お船は直江兼続と夫が義を貫く上杉家を支えました。
直江兼続とお船はお互いを知り尽くした良きパートナーだったのではないでしょうか。
2009年のNHK大河ドラマ「天地人」を見て、直江兼続に興味をもった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
直江兼続について知りたい方は、火坂雅志著「天地人」がおすすめ。
直江兼続を取り巻く上杉景勝、豊臣秀吉や徳川家康の心情、視点も丁寧に描かれています。
真田幸村とのやり取りにも注目です。
ぜひ一度、「天地人」を読んでみてください
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最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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