遣隋使、遣新羅使、遣唐使になった高向玄理とは?姓の由来は?

607年に隋に渡った小野妹子。
翌年、608年に、小野妹子は再び隋に渡りましたが、小野妹子に同行した者の中に、高向玄理という人物がいました。
高向玄理とはどのような人物なのでしょうか。

高向玄理の生涯と姓の由来を紹介します。

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高向玄理とは?

高向玄理の正確な生まれ年は不明です。

おゆう
おゆう

ただ、608年に、18歳で隋に渡ったといわれているため、590年生まれである可能性が高いです。

学者の高向古足の子で、高向玄理自身も学者でした。

遣隋使に選ばれる

608年、学問僧の南淵請安や旻、留学生の薬師恵日と共に、大使・小野妹子に同行して隋に渡りました。

小野妹子は翌年609年に帰国しましたが、留学生は唐に長期間滞在しました。

年数が短かった留学生から、帰国した年を簡単に紹介すると・・・
薬師恵日は15年間滞在し、医術を学んで、623年に帰国しました。
旻は24年間滞在し、仏教や易学を学んで、632年に帰国しました。
➤高向玄理と南淵請安は32年間滞在し、640年に帰国しました。

高向玄理、南淵請安、旻、薬師恵日は遣隋使として隋に渡りましたが、隋は618年に滅び、唐が建国されました。
4人は遣隋使でありながら、隋と唐の混乱を体感した留学生だったんですね。

国博士に任命される

帰国した高向玄理は冠位一級を与えられ、645年に起きた大化の改新の後には、孝徳天皇の新政権下で、国博士に任命されました。

国博士とは新設された臨時の官職。
唐の制度を日本に取り入れるべく、32年間も中国に滞在した高向玄理が任命されたと考えられています。

おゆう
おゆう

国博士はいわゆる政治顧問で、国政に関する専門的な知識が求められました。

遣隋使として派遣された高向玄理の功績が、いかに高く評価されていたかがわかりますね。

遣新羅使に選ばれる

646年になると、遣新羅使に選ばれ、新羅に渡り、外交交渉を成功させました。

すけさん
すけさん

遣〇〇使といえば、真っ先に思い浮かぶのが遣唐使だと思いますが、実は遣唐使や遣隋使の他に、遣新羅使、遣百済使と呼ばれる派遣使節団がありました。

遣唐使に比べて聞き慣れない遣新羅使は、その名前のとおり、新羅に派遣された人を指します。

663年に勃発した白村江の戦いで、日本は唐・新羅の連合軍と戦ったため、新羅との国交回復を目的に、668年から遣新羅使を新羅に送りました。

遣新羅使は金銀や織物などの他、ラクダやオウム、クジャクなどを持ち帰りました。
また、香料や顔料、染料なども持ち帰り、朝廷が必要な量だけ確保すると、残りは民に販売されました。

おゆう
おゆう

私達が想像している以上に、民は化粧を楽しんだり、自宅を飾ったりして、華やかな生活を送っていたのかもしれません。

坊っちゃん
坊っちゃん

一部の民だけだと思いますが。

ただ、遣新羅使が持ち帰ったのは、いい物だけではありません。
735年から737年にかけて、天平の疫病大流行という天然痘が流行した時期がありました。遣新羅使が出港した大宰府で発生したため、遣新羅使が天然痘を持ち帰ったのではないかと推察されています。
大宰府で発生した天然痘は、平城京にも持ち込まれ、やがて、日本全国に拡大。
738年にようやく収束しました。

八省百官を制定する

649年には、八省百官を制定しました。

八省とは、中務省、式部省、治部省、民部省、兵部省、刑部省、大蔵省、宮内省の8つの省を、百官とは、官、省、職、寮、司、台、府、使の諸官司を指します。

高向玄理が定めた八省は、701年に制定される大宝律令に受け継がれ、長年にわたって採用されました。

遣唐使に選ばれる

654年には第3次遣唐使の押使に選ばれ、大使・河辺麻呂、副使・薬師恵日と共に、唐に渡りました。
押使とは大使より高い地位で、遣唐使全体を統括する官職です。
莱州(山東省煙台市)に到着後、唐の都長安に向かい、第3代皇帝・高宗に謁見しましたが、病を患い、帰国することなく、唐で亡くなりました。

姓の由来は?

高向玄理の一族である高向氏は、第15代天皇・応神天皇の時代に、阿知王と一緒に日本に渡った漢人の子孫です。

先祖をたどると、三国志で有名な魏の初代皇帝・曹丕が登場するのだとか。
曹丕の父は、赤壁の戦いで孫権や劉備と戦った曹操。
つまり、高向玄理は曹操の末裔となります。

まとめ

高向玄理の生涯と姓の由来を紹介しました。

高向玄理は遣隋使、遣新羅使、遣唐使に選ばれ、人生の半分以上を外国で過ごしました。
渡来系氏族である高向玄理の先祖をたどると、三国志で有名な曹操にたどり着きます。

高向玄理は高校で学ぶ日本史の教科書に登場しますが、中学校の歴史教科書や高校の世界史の教科書には登場しません。
でも、高向玄理が日本に与えた影響は計り知れません。
高向玄理に興味をもった方は、これを機に、研究してみてはいかがでしょうか。

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