田沼意次の息子・田沼意知は佐野政言に殺された!理由と死が与えた影響

江戸時代中期に「田沼時代」を築いた田沼意次。
ところが、その跡継ぎ・田沼意知は殺害されてしまいました。

田沼意知佐野政言殺された理由とその与えた影響を紹介します。

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田沼意次の息子・田沼意知は佐野政言に殺された!

田沼意知は寛延2年(1749年)生まれ。
田沼意次と江戸時代中期の旗本・黒沢定紀の娘の間に長男として誕生しました。

明和4年(1767年)、わずか19歳で従五位下・大和守の官職を与えらえます。

☑ 老中首座・松平輝高が亡くなった天明元年(1781年)には奏者番
☑ 天明3年(1783年)には若年寄(老中に次ぐ重職)
となり、田沼意次を近くで支えました。

実は、跡継ぎでありながら若年寄になるのは異例の大出世。
同じく相模国小田原藩第2代藩主・大久保忠増が若年寄になった貞享4年(1687年)から45年ぶりのことでした。

天明4年(1784年)3月24日、田沼意知は江戸城内の若年寄部屋を出ました。
そして、中之間に入ろうとしたところを、新番士・佐野政言に斬りつけられました。

田沼意知は負傷しながらも逃走。
それでも、佐野政言に追いかけられ、廊下で転倒したところを再び斬りつけられます。

田沼意知が更に逃走したため、佐野政言は見失ってしまいます。
大目付・松平対馬守忠郷が佐野政言を取り押さえ、柳生久通が脇差を取り上げ、事態は収束。

田沼意知は重傷を負いながらも、駕籠に乗せられて神田橋の田沼意次邸に運ばれました。

ところが、田沼意知の肩と股は骨にまで達する深さで斬りつけられ、治療のしようがありませんでした。

4月2日未明、田沼意知は36歳でこの世を去りました。

田沼意知が佐野政言に殺された理由

田沼意知に斬りかかる時、佐野政言は「御覚有るべし」と声をかけました。
つまり、佐野政言は田沼意知に対して恨みを抱いていたんです。

田沼意知が佐野政言に恨まれていた理由は3つあります。

佐野家の家系図を返さなかった

暗殺事件の3年前。
田沼意知は佐野亀五郎を通じて佐野家の家系図を借ります。

この時、佐野政言は「田沼家は(高貴な)佐野家の庶流であると改ざんしましょうか」と提案。
ところが、田沼意知はその提案に乗らず、また、忙しさを理由に、家系図を返却しませんでした。

佐野政言の手柄を報告しなかった

天明3年(1783年)、佐野政言は江戸幕府第10代将軍・徳川家治の鷹狩りに「供弓」として選ばれます。
そして、雁1羽を討ち取りました。

まさに、佐野政言の大手柄。
ところが、田沼意知は「佐野政言が討ち取った」と伝えなかったため、佐野政言は褒美をもらうことができませんでした。

佐野家の旗も返さなかった

田沼意知は佐野家に代々伝わる七曜の旗を借ります。
ところが、田沼家の定紋と同じであることを理由に、旗を返却しませんでした。

田沼意知の死が与えた影響

田沼意次に対して悪い印象を抱いていた民は、跡継ぎである田沼意知を斬った佐野政言を賞賛。
佐野政言は「佐野大明神」、「世直し大明神」と呼ばれて崇められました。

田沼意知が亡くなった翌日、佐野政言は切腹を命じられます。
佐野誠言の墓所のある浅草徳本寺には、多くの民が墓参りに訪れました。

一方、田沼意知の葬儀では、
・石や馬沓(馬の足につけるわらじ)を投げる者
・暴言を吐く者
がいたといわれています。

また、同じ頃に行われた松平武元の葬儀を田沼意知の葬儀と勘違いして、石を投げる者もいたのだとか。

佐野政言を賞賛し、田沼意知を批判する世間の風潮によって、田沼意次の権力は急速に衰退。
田沼意次と対立していた松平定信が台頭することになりました。

オランダ商館長であるイサーク・ティチングは謡曲『鉢木』になぞらえて、
「鉢植えて 梅か桜か咲く花を 誰れたきつけて 佐野に斬らせた」
という落首を世界に伝えます。

・田沼意知の暗殺は幕府内の権力争いから始まったものである
・誰かが佐野政言をたきつけて、田沼意知を斬りつけさせた
と言っているんですね。

まとめ:田沼意知の死によって、松平定信が台頭!

田沼意知佐野政言殺された理由とその与えた影響を紹介しました。

若年寄として、また、息子として、田沼意次を近くで支えた田沼意知。
これから更なる活躍を期待されていましたが、佐野政言に殺害されてしまいました。

田沼意知が生き延びていたら、松平定信の台頭はなかった。
松平定信の台頭がなければ、寛政の改革もなかった。

そのように考えると、田沼意知の刃傷事件は江戸時代の転換期と言えるのではないでしょうか。

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