天正2年（1574年）に徳川家康と武田勝頼の間で勃発した第一次高天神城の戦い。
この7年後、徳川家康は武田勝頼と再び高天神城で戦うこととなります。
第二次高天神城の戦いで徳川家康が武田勝頼に勝利した経緯と与えた影響を紹介します。
第二次高天神城の戦いとは？
第二次高天神城の戦いとは、天正9年（1581年）に徳川家康と武田勝頼の間で行われた戦いを指します。
天正2年（1574年）5月に武田勝頼が勝利した第一次高天神城の戦いの続きです。
高天神城を手に入れた武田勝頼は、その昔今川家に仕えていた岡部元信を城主に任命。
一方、敗北した徳川家康は、戦いを終えて戻った大須賀康高を馬伏塚（まむしづか）城の城主に任命。
馬伏塚城を改修し、高天神城を取り戻すための拠点としました。
第二次高天神城の戦いで徳川家康が武田勝頼に勝利した経緯
徳川家康が第一次高天神城の戦いで敗北した原因の一つは、兵の少なさです。
対して、武田信玄に連敗した徳川家康は兵を失い、総兵力は1万人を切っていました。
・徳川家康が兵を増やさない
・武田勝頼の兵力が徳川家康の兵力を下回らない
限り、徳川家康が武田勝頼に勝つ見込みはありません。
ところが、第一次高天神城の戦いが起きた天正2年（1574年）から第二次高天神城の戦いが起きるまでの7年の間に大きな出来事が起こります。
天正3年（1575年）5月に勃発した長篠の戦いです。
武田勝頼と織田・徳川連合軍の間で行われた長篠の戦い。
長篠の戦いでは、最新の鉄砲を活用した織田軍が勝利しました。
一方、武田勝頼が率いた兵は1万1000人で、内1万人が亡くなりました。
最強と呼ばれた武田軍が大きな損害を被ったんです。
武田勝頼が長篠の戦いで兵力を失ったことをきっかけに、徳川家康は高天神城の奪還に乗り出しました。
長篠の戦いを終えたわずか2ヶ月後、徳川家康は諏訪原城を攻撃しました。
第一次高天神城の戦いの後、諏訪原城は高天神城への補給路となっていました。
長篠の戦いで大敗した武田勝頼は体勢の立て直しが間に合わず、諏訪原城に援軍を送ることができません。
諏訪原城は徳川家康の手に落ちました。
諏訪原城を手に入れた徳川家康は改修に取り掛かり、今川義元の子ども・今川氏真を城主に任命しました。
紹介したように、高天神城の城将・岡部元信は旧今川家臣。
今川氏真と元家臣を戦わせようとするなんて、徳川家康も悪趣味ですね。
続いて、馬伏塚城主・大須賀康高に横須賀城を築城させ、武田軍の高天神城への補給輸送を妨害しました。
また、高天神城周辺の田畑を焼いて、作物を収穫できないようにしました。
岡部元信は武田勝頼に救援の要請しましたが、武田勝頼に高天神城を救う余力はありません。
長篠の戦いで武田勝頼に勝利した徳川家康も、武田勝頼に余力がないことを察していました。
① 小笠山砦
② 能ヶ坂砦
③ 火ヶ峰砦
④ 獅子ヶ鼻砦
⑤ 中村砦
⑥ 三井山砦
の6つの砦を完成させ、高天神城への補給路を完全に断ちました。
こうして、徳川家康は兵糧攻めに成功。
高天神城の兵糧が底をつき、追い詰められた岡部元信は徳川家康に降伏を申し出ました。
徳川家康は降伏を受け入れようとします。
ところが、織田信長から、
決して降伏を受け入れてはいけない！
と通達されます。
「武田勝頼は高天神城に駆けつけず、兵を見殺しにした」という噂を広めたかったんです。
天正9年（1581年）3月、徳川軍と戦って勝つ以外に生き残る道はないと判断した岡部元信。
岡部元信は生き残っている兵を率いて高天神城を出ました。
徳川軍は武田軍を迎え撃ち、武田軍1000人の兵の内、688人を討ち取りました。
本多忠勝をはじめ、鳥居元忠や戸田康長など、徳川家重臣が高天神城内に入り、城内に残っていた兵をことごとく斬りました。
こうして、徳川家康は高天神城を陥落させました。
第二次高天神城の戦いで徳川家康が与えた影響
第一次高天神城の戦いで勝利した武田勝頼は、
・敗北した徳川軍の兵全員の命を助ける
・今後の身の振り方を自由に選択させる
ことにしました。
一方、救援に駆けつけず、兵を見殺しにした徳川家康は名声を失いました。
では、第二次高天神城の戦いで勝利した徳川家康はどのように振る舞ったのでしょうか。
武田勝頼の取った寛大な処置とは異なり、徳川家康は武田軍を徹底的に打ちのめしました。
そのため、徳川家康は武田勝頼のような名声を手に入れることはできませんでした。
そのため、武田勝頼は名声を失い、多くの家臣が武田勝頼の元を去っていきました。
以降、武田氏は崩壊の一途を辿ることとなります。
まとめ：高天神城の戦いは心理戦でもあった！
第二次高天神城の戦いで徳川家康が武田勝頼に勝利した経緯と与えた影響を紹介しました。
第二次高天神城の戦いで徳川家康が勝利したのは、長篠の戦いがあったからといっても過言ではありません。
今川氏真と元今川家臣・岡部元信を戦わせた徳川家康。
岡部元信の降伏を受け入れてはいけないと指図した織田信長。
高天神城の戦いは心理戦でもあったのではないでしょうか。
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