【唐】楊貴妃の姉・秦国夫人に失脚させられた楊慎矜ってどんな人?

楊貴妃の姉・韓国夫人、虢国夫人、秦国夫人は三国夫人と呼ばれ、朝廷や後宮において、大きな権力を握りました。

中には、秦国夫人によって失脚させられた官吏もいます。

おゆう
おゆう

楊慎矜です。

楊慎矜の生涯を4つに分けて紹介します。

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監察御史に任命される

楊慎矜の生まれ年は不明で、弘農郡(陝西省渭南市)の出身地。

父・楊崇礼は則天武后のもとで天官(吏部)郎中、中宗のもとで5つの州の刺史、玄宗のもとで金や布を管理する太府卿を務めました。

また、祖父・楊政道は隋の第2代皇帝・煬帝の次男・楊暕の子。

おゆう
おゆう

つまり、楊慎矜は煬帝の玄孫でした。

733年、玄宗から頼りにされていた楊崇礼は引退を申し出ました。
玄宗は楊崇礼の引退を認める代わりに、後任の者を子どもの中から推薦するように言いました。

すけさん
すけさん

そこで、楊崇礼は次男・楊慎矜の名前を挙げました。

楊慎矜は官吏や刺史を監視する監察御史、そして、楊崇礼の後任として知太府出納に任命されました。

御史中丞に任命される

743年、御史中丞に任命されましたが、宰相・李林甫が敵対心を抱くことを恐れて辞退しました。
代わりに、皇帝にアドバイスする諫議大夫に任命されましたが、すぐに御史中丞に任命されました。

745年には、水陸漕運使に任命されました。

おゆう
おゆう

水陸漕運使とは、河川や海、運河を利用して物資を輸送する漕運を監督する官職です。

746年、土地や戸籍、官吏の給与などを管理する戸部侍郎(次官)に昇進しました。

李林甫や王鉷から憎まれる

ここまで順風満帆だった楊慎矜。

おゆう
おゆう

ところが、この時起きていた朝廷内の争いに、楊慎矜は巻き込まれてしまいます。

宰相・李林甫は玄宗から信頼されていた刑部尚書・韋堅、河西節度使・皇甫惟明の排除を企んでいました。

李林甫は楊慎矜に韋堅と皇甫惟明の動向を探らせました。

ある日、韋堅と皇甫惟明が夜遊びをしていたため、楊慎矜は李林甫に二人が夜遊びをしていたことを報告。

すると、李林甫は「韋堅と皇甫惟明はクーデターを起こそうと、毎晩会っている」と嘘をつきました。

玄宗は李林甫に二人の尋問を任せ、李林甫は部下の王鉷と吉温に尋問を任せました。

楊慎矜は証言を求められましたが、楊慎矜は証言せず、中立的な立場を保ちました。
そのため、李林甫や王鉷から憎まれてしまいました。

おゆう
おゆう

王鉷は楊慎矜の従兄弟の子どもで、楊慎矜の推薦によって監察御史に抜擢されました。

李林甫と王鉷に、嘘の密告をされて自害する

実は、楊慎矜には、周囲に打ち明けられない秘密がありました。

坊っちゃん
坊っちゃん

占いや予言を信じていたんです。

楊慎矜は還俗僧・史敬忠と交流があり、史敬忠に侍女・明珠を贈りました。
すると、楊貴妃の姉・秦国夫人とも付き合いがあった史敬忠は、秦国夫人に明珠を贈りました。

お嬢ちゃん
お嬢ちゃん

侍女、たらい回しですね。

そして、秦国夫人は明珠を連れて、宮廷に出入りしました。
玄宗に会った秦国夫人は、明珠を連れることになった経緯を事細かに話しました。

当時、宮中ではまじないや祈祷はご法度。
占いや予言はその類に当たるため、玄宗の楊慎矜に対する評価は下がってしまいました。

楊慎矜を排除したいと思っていた李林甫と王鉷は、この出来事を利用することにしました。

おゆう
おゆう

二人は「楊慎矜は隋を復活させようとしている」と嘘の密告をしたんです。

李林甫を信じていた玄宗は楊慎矜を捕らえさせ、宰相・楊国忠と殿中侍御史・盧鉉に取り調べを命じました。

楊慎矜の腹心である太府少卿・張瑄から証言を引き出そうと拷問しましたが、張瑄は証言しませんでした。
ところが、拷問を恐れた史敬忠は嘘の証言をしてしまい、更に、盧鉉は証拠を捏造して、楊慎矜の有罪が確定。

747年、楊慎矜は兄弟と共に自害を命じられて亡くなりました。

まとめ

楊慎矜の生涯を4つに分けて紹介しました。

楊慎矜は隋の第2代皇帝・煬帝の玄孫です。
煬帝は暴君として有名ですが、楊慎矜本人はおごり高ぶらず、また、権力に屈さない官吏でした。

真面目に働き、昇進を重ねましたが、秦国夫人の侍女・明珠が、楊慎矜が占いや予言を信じていることを玄宗に告げ口。
楊慎矜を排除したいと思っていた李林甫と王鉷は、この出来事を利用して嘘の密告をし、楊慎矜やその兄弟を自害に追い込みました。

お嬢ちゃん
お嬢ちゃん

側室の姉の侍女が、皇帝と話す機会はめったにありません。

李林甫や王鉷だけでなく、楊貴妃の又従兄である楊国忠も楊慎矜を憎んでいました。
もしかしたら、秦国夫人は侍女を使って、楊国忠に手を貸したのかもしれませんね。

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