呂雉、西太后と並んで、中国三大悪女に数えられる則天武后。
悪女と呼ばれる則天武后の両親は、どのような人物だったのでしょうか。
則天武后の父・武士彠、母・楊夫人、二人のなれそめを紹介します。
則天武后の父・武士彠とは？
武士彠は、并州文水県（山西省呂梁市文水県）に4男として生まれました。
父・武華は財産家でしたが、武士彠自身は貧しい生活を送っていました。
材木商になる
文水県では、ほとんどの人が農業に従事していました。
文水県の航空写真を見るとわかるように、今でも木に囲まれた土地です。
おそらく、当時は、今以上に木でいっぱい。
農業に従事する人が多いのは納得がいきますね。
ところが、武士彠は15歳の時に村を離れて、林業を始めました。
何故、武士彠が農業ではなく、林業を選んだのか。
その理由は、山西省の雨の日の多さにあります。
① 雑草が早く伸びるため、草取りが必要
② 田畑に水が溜まるため、排水が必要
になります。
つまり、農業をするとなると、手間がかかったんですね。
一方、林業は十分な降水量が求められます。
雨の日の多い山西省は、農業ではなく、林業に向いている土地だったんです。
村を離れた武士彠は自分で稼いで生きていかなければいけません。
武士彠は木を切り売りする材木商になりました。
街で有名になる
材木商になった武士彠は、商売を成功させて、大金持ちになりました。
一緒に材木商をし、十分稼いだ許文宝は、材木商から手をひきました。
一方、武士彠は材木商を続けながら、新たな分野にチャレンジしました。
15歳で村を離れ、がむしゃらに働いてきた武士彠には、勉強する機会がありませんでした。
そこで、稼いだお金をもとに、学者先生に勉強を教えてもらうことにしたんです。
お金も教養もある武士彠は、街で有名になりました。
高祖と出会う
武士彠が30歳になった頃、人生の大きな転機が訪れます。
後に唐の初代皇帝・高祖となる李淵との出会いです。
当時、李淵は太原留守を務めていました。
皇帝がその都市を不在にしている間、代理人となって、国政を行う官職です。
李淵は隋の第2代皇帝・煬帝の代理人として、太原を治めていました。
李淵の目に留まった武士彠は、まず、行軍司鎧参軍になりました。
その後、大将軍府鎧曹参軍、光禄大夫と次々に出世し、太原郡公に任命されました。
何故、武士彠は次々に出世することができたのでしょうか。
それは、李淵に資金援助をしたからです。
煬帝に代わって、国を引っ張っていくのは李淵だとわかっていた武士彠は、将来を見据えて、李淵に投資していたんです。
武士彠の読みどおり、李淵は隋を滅ぼして、唐を建国しました。
李淵が高祖として、皇帝に即位すると、武士彠は工部尚書、荊州都督に任命されました。
則天武后の母・楊夫人とは？
楊夫人は隋の初代皇帝・楊堅の兄である楊紹の孫で、皇族の血をひく名門出身でした。
当時は14歳を過ぎたら嫁ぐのが当たり前。
でも、楊夫人は40歳を過ぎても独身でした。
隋は戦乱が相次いで勃発した時代。
また、煬帝が暴政を行った時代。
皇族の楊夫人は、時代に振り回されて、嫁ぐ機会を失い、42歳になっても独身でした。
二人のなれそめは？
武士彠には、同じ文水県出身の妻・相里氏がいました。
相里氏との間に、2人の息子を授かりましたが、相里氏は間もなく亡くなりました。
妻と死別した武士彠に、李淵は楊夫人を紹介しました。
44歳の武士彠は楊夫人と再婚。
後に則天武后となる武照を含む3人の子どもを授かりました。
まとめ
則天武后の父・武士彠、母・楊夫人、二人のなれそめを紹介しました。
則天武后の父・武士彠は15歳の時に村を離れて、材木商になってお金を稼ぎました。
稼いだお金は、後に唐の初代皇帝・高祖となる李淵に投資。
李淵が皇帝に即位すると、武士彠は工部尚書、荊州都督に任命されました。
妻・相里氏と死別した武士彠に、則天武后の母・楊夫人を紹介したのは李淵です。
44歳の武士彠と42歳の楊夫人は、3人の子どもを授かりました。
武士彠が李淵に投資しなかったら…
武士彠が材木商にならなかったら…
則天武后は誕生しなかったかもしれません。
そう考えると、3人の引き合わせは運命だったのかもしれませんね。
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