元亀3年（1572年）12月22日に、徳川家康・武田信玄間で行われた三方ヶ原の戦い。
当初、2万5000人の武田軍を相手に、徳川家康は浜松城で籠城するつもりでした。
ところが、徳川家康は1万1000人の兵（織田信長から受けた援軍3000人を含む）で立ち向かいます。
徳川家康が三方ヶ原の戦いに出陣した理由と肖像画（しかみ像）に込めた想いを紹介します。
徳川家康が三方ヶ原の戦いに出陣した理由
「三河物語」によると、徳川家康は出陣前に、
我国を踏み切りて通るに、多勢なりというて、などが出てとがめざらん哉。
兎に角、合戦をせずしてはおくまじ。陣は多勢無勢にはよるべからず
と言っています。
武田信玄の挑発に乗った
一言坂の戦い、二俣城の戦いを経て、徳川家康は武田信玄が浜松城を攻撃するものだと思っていました。
ところが、武田信玄は浜松城を攻撃すると見せかけて素通り。
三方ヶ原台地に向かいました。
一言坂の戦い、二俣城の戦いで敗北し続けていた徳川家康。
次の戦でも敗北する可能性が高いと分かっていましたが、感情的になって出陣してしまいました。
織田信長に見限られることを恐れた
武田信玄が浜松城を攻撃すると予想した徳川家康。
兵力を拡大するべく、清洲同盟を結んでいた織田信長に兵を送るよう要請します。
そして、織田信長から3000人の兵が送られてきました。
・越前の朝倉義景
・北近江の浅井長政
・南近江の六角義賢
・比叡山延暦寺
・石山本願寺
が形成した信長包囲網への対応で手一杯。
織田信長自身も兵力を必要とする中、徳川家康の要請に応じて兵を送ってくれたんです。
なのに、武田信玄と戦わないとなると、徳川家康は織田信長に合わせる顔がありません。
徳川家康は織田信長に見限られることを恐れて出陣しました。
武田信玄を足止めしたかった
浜松城を素通りした武田信玄が次にたどり着くのは、酒井忠次が城主を務める吉田城。
岡崎城には4000人の兵しかいないため、武田軍が攻め込めばすぐに陥落してしまいます。
そこで、吉田城と岡崎城が守備を固められるよう、徳川家康は時間稼ぎのために出陣しました。
家臣の信頼を得たかった
徳川家康の配下には、
・昔から徳川家康に仕えていた家臣
・徳川家康が滅亡に追い込んだ今川氏に仕えていた家臣
がいました。
徳川家康は今川家で人質として幼少期を過ごしましたが、今川義元から可愛がられて育ちました。
にも関わらず、今川氏を滅亡に追い込んだ徳川家康は、今川家臣にとって裏切り者。
今川氏に仕えていた家臣の徳川家康に対する忠誠心は薄く、いつ裏切られてもおかしくありませんでした。
そこで、武田信玄から自分の領地を守るカッコイイ姿を見せて、家臣の信頼を得ようと出陣しました。
肖像画（しかみ像）への想い
徳川家康像といえば、教科書に掲載されている狩野探幽が描いたものが有名。
でも、徳川家康は同じ狩野探幽に「しかみ像」を描かせていました。
一言坂の戦い、二俣城の戦い、三方ヶ原の戦いで武田信玄に敗北した徳川家康。
家臣の反対を押し切って出陣した三方ヶ原の戦いでは、徳川家康は2000人もの兵を失いました。
徳川家康は兵を無駄に失ってしまったのではないかと、出陣したことを悔やみました。
そこで、自身への戒めとして、徳川家康はしかめっ面をした肖像画「徳川家康三方ヶ原戦役画像」を狩野探幽に描かせました。
「徳川家康三方ヶ原戦役画像」では、
・わらじを履いた素足
・左足を組んで、左手を顎に当て、不安そうな顔で座っている姿
・口を開けて歯を出し、目を見開いた表情
が描かれています。
・徳川家康の兵を失ったことに対する悲しみ
・今後は兵を無駄に失うことのないようにという覚悟
が伝わりますね。
まとめ：徳川家康は負け戦だと分かって三方ヶ原に出陣した！
徳川家康が三方ヶ原の戦いに出陣した理由と肖像画（しかみ像）に込めた想いを紹介しました。
徳川家康が三方ヶ原に出陣した理由は、
① 武田信玄の挑発に乗った
② 織田信長に見限られることを恐れた
③ 武田信玄を足止めしたかった
④ 家臣の信頼を得たかった
という4つです。
武田信玄に敗北する可能性が高かったことは、徳川家康もよく理解していました。
それでも、徳川家康は出陣せざるを得なかったんですね。
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